現在、医療機関において課題となっている、医師確保や働き方改革の促進など組織経営に係る事項に関しては「リーダーシップ」や「マネジメント能力」が求められます。しかし一般的には、医師がそのような教育を受ける機会はほとんどありません。
佐賀県では、「組織マネジメント」を担う可能性がある医師を対象に「リーダーシップ」や「マネジメント」の基礎知識および技術を体系的に学ぶ機会を創出し、次世代のリーダーとなりうる医師の育成を図っています。
内容を紹介する動画はこちらになります。https://vimeo.com/806250895/234e8d4ba7
令和4年度に引き続き、令和5年度も佐賀県内の基幹型及び協力型臨床研修病院の多くの中堅医師がオンラインで研修を行いました。
(参考)令和5年度のコース内容
回 |
日時 |
曜日 |
時間 |
主題・内容 |
---|---|---|---|---|
1 |
9月6日 |
(水) |
18:00-19:30 |
マネジメント概論 |
2 |
9月21日 |
(木) |
18:00-19:30 |
人材マネジメントⅠ |
3 |
10月13日 |
(金) |
18:00-19:30 |
ロジカルシンキング |
4 |
10月30日 |
(月) |
18:00-19:30 |
ファシリテーション |
5 |
11月14日 |
(火) |
18:00-19:30 |
人材マネジメントⅡ |
6 |
12月1日 |
(金) |
18:00-19:30 |
リーダーシップ |
7 |
12月14日 |
(木) |
18:00-19:30 |
マーケティング |
8 |
1月17日 |
(水) |
18:00-19:30 |
プロジェクトマネジメント |
9 |
1月29日 |
(月) |
18:00-19:30 |
オペレーションマネジメント |
10 |
2月13日 |
(火) |
18:00-20:00 |
病院経営課題・まとめ |
2023年度次世代リーダー医師育成研修参加者の感想
はじめはリーダー医師育成研修と聞いて、正直なところ期待よりも義務としての研修を考えていました。しかし、いざ研修がはじまってみると、リーダーとしての知識や技術、考え方など、いろいろと面白かったです。そもそも、医師は少なからずリーダーとしての活躍が望まれるため、以前から少しは自己学習を行っていましたが、研修を通じて自分が今まで無知であった事を痛感したとともに、今回の研修に参加させて頂いたことで、マネジメントなどに対する物事の見え方が変わった気がします。大変有意義な研修でした。ありがとうございました。
各専門領域で医師の仕事のスタイルは様々ですが、年数を重ねるにつれてどの診療科であっても、実臨床だけでなく他職種とのコミュニケーションや教育、もしくは所属する組織全体をマネジメントする機会が増えていきます。私も駆け出し中間管理職として多様な問題に頭を悩ませてきましたが、立場が上になるほど難易度の高い問題に直面することを実感しています。
今回の次世代リーダー医師育成研修を受講することによって、これまで自分がやってきた取り組みを具体的に言語化し、テクニックとして理解する事が出来ました。更に心理学の見地から新たな知見をいただく事も多く、今後の業務に活かしてみたいと思える内容でした。講師の先生方も診療の現場を充分に理解されており、実感のこもったケーススタディの振り返りが非常にためになりました。
自分の過去を振り返っても、医学部教育から卒後教育までこのようなマネジメント・マーケティング理論を学ぶ機会は皆無でしたが、どのような医師にも必ず為になる内容であり、今後も適正なタイミングで受講することを後輩医師に薦めていきたいと思います。
医師として、求められる役割は年次や働く環境により変わっていきます。組織のマネジメントを行う立場になると、他部署との関わりも増え、組織が円滑に動くように調整する力も必要になっていきます。「リーダー医師育成研修」では、マネジメントという技術の磨き方を学ぶことができます。
この研修では毎回ケースが提示され、自分で事前に予習をして、少人数グループでの議論、全体での議論、振り返りという形式であるため、毎回深い学びを得ることが出来ます。仕事だけでなく、人生を豊かにするうえでも必要な気づきが多くありました。
本研修の案内を最初に見た時は、まだピンと来ていなかったのですが、その後上司からあらためて勧めてもらい、参加させて頂くことにしました。マネジメントへの問題意識や興味、そしてうまく対応できないもどかしさ。年々、強くなるこれらの気持ちに応えてくれるのではないかと考えたからです。嬉しいことに、その予想は的中しました。
毎回、テーマにそった簡単な課題を自分なりに考え→オンライン上でディスカッションして→まとめの講義を受け→自分なりの振り返りを行い→湧いてきた疑問はその次の回で講師の先生が整理してくれる、という循環のおかげで、密度の濃い充実した研修になりました。考えを→広げて→理解し→深めるという構造や、講師の先生方の参加者をリラックスさせつつも議論を深めていくファシリテートぶりは、研修会を主催することのある私たちにとってそのまま真似したい要素です。
内容は、マネジメント概論、人材マネジメント、ロジカルシンキング、ファシリテーション、リーダーシップ、マーケティング、プロジェクトマネジメント、オペレーションマネジメント…と盛りだくさんでした。医師にとってはあまり馴染みのないテーマもありましたが、こういう状況あるよなぁ、という課題設定のため、楽しみながら取り組めました。また、入門編とはいえ、医療チームのモチベーションをあげる方法やプロジェクトを任されたときのポイントなど実際に活用できそうなものが多く、毎回、何かしら刺さる部分がありました。そして個人的には、これまで自院(肥前精神医療センター)でなんとなく任せてもらっていたいくつかのプロジェクトを、分析的に振り返る機会になったことが大変意義深く感じました。
マネジメントは、診療にも家庭にも応用できるとコーディネーターの江村先生が言われていましたが、私も同感です。フラクタルだと思います。マネジメントの知識や技術が少し増えることで、管理業務だけでなく、診療でも個人的な作業のなかでも、大きく活かせるでしょう。私もしっかり活かしていきたいと思います。少々大袈裟かもしれませんが、「ひと」の可能性をさまざまな面で感じることのできる研修でした。
さいごに、本研修をサポートして下さった関係者の皆様、一緒に参加された先生方、ありがとうございました。