
現在、医療機関において課題となっている、医師確保や働き方改革の促進など組織経営に係る事項に関しては「リーダーシップ」や「マネジメント能力」が求められます。しかし一般的には、医師がそのような教育を受ける機会はほとんどありません。
佐賀県では、「組織マネジメント」を担う可能性がある医師を対象に「リーダーシップ」や「マネジメント」の基礎知識および技術を体系的に学ぶ機会を創出し、次世代のリーダーとなりうる医師の育成を図っています。
令和3年度は佐賀県内の基幹型及び協力型臨床研修病院の中堅医師30名がオンラインで研修を行いました。令和4年度も開講予定です。
(参考)令和3年度のコース内容
日時 | 主題・内容 | |
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第1回 | 11月11日(木) 18:00〜20:00 |
マネジメント概論 |
第2回 | 11月24日(水) 18:00〜19:30 |
人材マネジメント |
第3回 | 12月6日(月) 18:00〜19:30 |
ファシリテーション |
第4回 | 12月22日(水) 18:00〜19:30 |
オペレーションマネジメント |
第5回 | 1月14日(金) 18:00〜19:30 |
マーケティング |
第6回 | 2月3日(木) 18:00〜19:30 |
プレゼンテーション |
第7回 | 2月16日(水) 18:00〜20:00 |
リーダーシップ |
2021年度次世代リーダー医師育成研修参加者の感想
医師としての年数を重ね、プレイングマネージャーとしての仕事が少しずつ増えてきたと感じていましたが、これまでプレイヤーとしてのみ突き進んできたため、リーダー論を学んだことはなく、手探り状態の日々でした。本研修を通じてリーダー論を体系的に学ぶことができ、これまでの対応を改め、今後に活かすことができる研修となりました。本研修をきっかけに、医学書以外の本を読みたいと思えるようになったことも望外の結果でした。
医師という職種は、テクニカルな専門性が求められると同時に、チーム協働や、新しい企画の立案、実行において、リーダー的役割が期待される職業です。一方で、医療技術と違い、リーダーシップ論やファシリテーション術といったノンテクニカルスキルについて、病院内で、研修を受ける機会はほぼないのが実情です。これに関する実用書はたくさんありますが、読んだだけですぐに実践できるとも限りません。
今回受講した「次世代リーダー医師育成研修」では、まさに、仲間とともにノンテクニカルスキルについて演習ができ、実際やってみるとこんな感じなのだとか、さらなる課題などがみいだせて、とても貴重な体験になっています。なんとなく体得してやっていることが言語化できるようになることで作業効率や、仲間と共有しやすくなるように思います。是非、興味のある方には受講をお勧めします。
医師として20年目を迎え、専門性の高い医療提供が求められるとともに、上司にある程度の仕事の責任や後進の指導をまかされ、また他科やコメディカルとの連携の窓口業務など、より縦と横との関係を意識した仕事内容が必要となっています。さらに、医療提供のみならず、在院日数、医療コスト、手術実績など病院経営に関わることまで考慮しなければならない立場でもあります。このような状況で、イニシアチブやリーダーシップを発揮し、周りをマネジメントしていく能力は必須であり、この研修会はそのためのノウハウを学ぶいい機会になっています。毎回異なるケースを題材にし、組織経営の実際について、佐賀県内より集まった各医療機関の代表者と議論します。次世代のリーダーを担うような優秀な人材が多く集まっているため、毎回いい刺激を受けながら学習できるのみならず、今後の県内のネットワーク構築にも役立つ素晴らしい育成研修と感じています。
佐賀県内の様々な施設の働き盛りの医師が集まって議論するという、この研修への参加を勧められた時、少なからずひるみました。私は佐賀県出身でも佐賀大学卒でもなかったので、一人知らない外国に放り込まれたような感覚もありました。ただそんな私の心配はすぐに消えました。実際に研修が始まり、小グループに分かれ、毎回違った先生方と議論するうちに不思議な連帯感が出てきて楽しめるようになっていきました。リーダーになるためにはこんなことまで考えていかなくてはいけないのかとか、他の先生はこんなことを考えているんだと驚かされました。コロナ下でなければ直接お会いできて、もっと楽しめたかもしれませんが、今回のようなリモートもなかなか面白いと感じています。このような試みを企画して頂いて感謝しております。