佐賀大学医学部附属病院
佐賀病理専門研修プログラム
人々が幸せに暮らし続けるために、幅広い疾患に対する病理診断を行うことのできる医師を育てます
佐賀大学医学部附属病院を基幹病院として、佐賀県内の連携病院で研修できる病理専門研修プログラムです。年間7000件を超える組織診断と細胞診断、年間30例以上の病理解剖を経験することができ、特定の臓器に偏ることなく多岐にわたる疾患について系統的に研修することが可能です。病理専門医の手厚い指導の下に、生検検体や外科切除検体の一例一例を丁寧に診断します。病気の診断のみならず、その人にとって何が問題なのか、どういう診断が最も必要されているか、常に意識しながら診断する力を養います。
多職種や他の分野、診療科と連携しながら病理の役割を果たす力を養い、組織やチームを運営する力、協力して問題を解決する力を身につけます。本プログラムでは、病理と臨床の垣根は低く、コミュニケーションをとりやすい体制を構築しています。診療科とのカンファレンスや病理解剖所見会などを通じて病理診断を臨床医に適切に伝える経験ができます。
病理診断、病理学に関連する研究会や学会に積極的に参加し、発表する機会もあります。基本的には平日に病理業務に携わり、過剰な業務を負担することなく病理専門医の資格がとれるような十分な症例数(組織診断・病理解剖)を経験できます。
専攻医の声
佐賀大学卒業後、引き続き、初期~専門医研修も佐賀大を中心に行っています。学生時代の病理学総論の講義・実習で病理に関心を抱き、学会主催の「病理学校」に参加したり、臓器別実習で予定時間をやや超えて組織標本のスケッチに勤しんだりしていました(とはいえ病理診断業務にはスケッチを要することはほぼなく、むしろ、写真、特に臓器肉眼像の撮影能力がそれなりに問われると思っています)。原稿執筆時点(2022年1月)はCOVID-19の渦中にあり、「病理学校」のWEB開催が検討されていますので、興味のある方は検索、もしくは病理学講座からの案内をお待ちください。
さて、研修プログラムについてです。佐賀大学医学部附属病院全体の特徴として、いわゆる”Common disease”から希少な疾患まで幅広い疾患が経験できる点が挙げられると思われますが、検体が提出される疾患についても同様の傾向があると考えます。そのような幅広い疾患の診断について毎日病理医が集ってカンファレンスを行っており、自分の診断担当以外の症例からも多くの疾患概念やそれぞれの診断プロセス等を学ぶことができています。 また、地理的に近い関連病院が多く、週一回の研修で、規模が異なる施設での考え方を習得させていただくとともに、関連病院から大学への病理診断の相談のお手伝いをしたり、臨床的に大学へ紹介となった症例の経過を追ったりできることも良い勉強となっています。
最後に、病理専門医受験に際しては求められる剖検症例数を満たす必要があります。全国的に病理解剖数が減少する中、佐賀は大学のみでも症例数を満たすことが可能な状況です。これは、御献体下さる患者さまやご遺族・関係する方々、そこに至るまでに懸命に患者さまと関わってこられた、主治医をはじめとするスタッフの方々があってのことです。この場を借りて御礼申し上げます。