佐賀県医師支援センター

済生会唐津病院

病院の理念・特色

 済生会唐津病院は,唐津東松浦地区の中核病院として地域医療に貢献している。

 さらに医療のみならず、特別養護老人ホーム、老人保健施設、訪問看護ステーションなどとともに済生会唐津医療福祉センターを構成し、医療保健福祉の複合的なサービスを地域に提供している。

 センター全体の理念は「済生会創立の精神を尊重し〝健康への願い″に「良質の医療・福祉サービス」と「まごごろ」で応える」である。本院の主な診療科は内科、外科、整形外科、脳神経外科、放射線科であり、病床数は一般病床193床。外来患者数は一日平均約285.1名、一般病床の入院患者数は一日平均約165.8名で平均在院日数は15.2日。

 本院における研修の特色として、多種多様な急性期疾患の診療、慢性期疾患の管理、リハビリ、福祉との連携など地域医療におけるさまざまな経験を一施設で経験できることが挙げられる。本院の選択研修は内科系、外科系に主に分けられるが、希望により福祉関係の施設での研修も可能である。

 病棟での研修では最大月30名程度の新患を診療する。大学では経験できない急性期疾患を多く診療することになる。検査関係では希望により、内視鏡、透視、超音波検査を研修することができる。(数値は令和4年度の実績)

内科

指導統括責任者 千布 裕

研修の概要

病棟
  • 一般内科疾患、循環器内科、消化器内科(含肝胆膵)、呼吸器内科、代謝性疾患(含DM)などの疾患を中心に病態の理解と診断・治療。
  • 病棟において、採血、点滴、静注など基本的な手技の習得。
  • 患者の心理を理解し、患者に病態、治療計画、予測される予後などの説明。
  • 福祉部門との連携。
検査部門
  • 腹部超音波検査、透視、内視鏡検査
  • 超音波診断装置を用いた腹腔穿刺、静脈穿刺、膿瘍穿刺など。
  • 心臓カテーテル検査の見学と理解。
救急医療
  • BLS、ACLSの理解と実行。
  • 救急患者に対する治療、検査の計画を立案。

外科

指導責任者 山懸 基維

研修の概要

 当院外科は一般市中病院の外科であり、消化器急性炎症性疾患や大小様々な外傷も多く、大学病院等では多くは経験できない外科学のプライマリーな疾患の研修も可能である。

 外科の初期研修は,外科領域の知識習得はもちろんであるが、結紮縫合といった基本手技の修得が必要で、当院外科では,縫合に限らず内視鏡的治療から血管内治療まで多くの手技を実践で経験し修得することが可能である。

 また鏡視下手術も多数経験出来る点も当院の特徴である。

消化器外科

食道癌、胃癌、大腸癌に対する外科治療(標準的開腹手術、腹腔鏡下手術)。

術前後の化学療法。

上下部内視鏡による術前評価。

肝胆膵外科

肝細胞癌、転移性肝癌に対する肝切除(腹腔鏡下肝切除も含む)。

胆膵悪性疾患に対する PTCD、ERCPによる術前診断。

処置から膵頭十二指腸切除や胆管切除・再建などの外科切除。

手術適応のない膵胆道系悪性疾患に対する胆道ステント挿入。

胆道系良性疾患(胆石,総胆管結石)に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術、内視鏡的乳頭切開・結石除去。

慢性膵炎に対する内視鏡的ステント挿入。

血管外科

腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術。

閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療(PTAやステント挿入)とバイパス手術(重症虚血肢に対しては下腿から足部へのバイパス術)。

下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などの静脈疾患。

一般外科

急性炎症性疾患(急性虫垂炎,急性胆嚢炎・胆管炎)、ソケイヘルニアなどの腹壁ヘルニア、各種外傷、糖尿病性足壊疽など。

乳腺外科

乳癌に対する乳腺撮影・超音波などの術前診断。

乳房切除術や縮小手術などの外科治療。

術前・術後の化学療法。

呼吸器

肺癌、気胸、縦隔腫瘍、胸壁・胸膜腫瘍などの呼吸器外科疾患に対する診断(画像診断、気管支鏡検査、胸腔穿刺)、治療(手術,化学療法,胸腔ドレナージ)。

整形外科

指導責任者 米倉 豊

研修の概要

 整形外科は、痛みやしびれといった運動器の機能障害を治療する。

 主に骨、関節、筋肉、靭帯、神経などの病気を扱う診療科である。変形性関節症などの変性疾患や骨折、靭帯損傷などの外傷性疾患、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患などを中心に、日々の診療を行っている。

 手術においては、高齢者に多い大腿骨頚部骨折をはじめ変形性関節症に対する人工関節置換術などの治療を行っている。

 また術後は理学療法士、作業療法士などと協力し、リハビリテーションを行い、できるだけ早い機能回復を目指している。四肢、体幹の機能を保ち、痛みなく日常生活を過ごすことができ、より良い生活の質を維持するサポートができるよう治療にあたっている。

 外来診療は月曜から土曜までの午前中で、平日の午後は主に入院患者の処置や手術を行っている。検査に関してはCT検査、MRI検査、骨密度検査などの画像診断機器も配置されており、必要に応じて速やかに検査が可能である。

 入院治療においては、看護スタッフ、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカーなどと協力し、定期的にミーティングを行い、チームとして患者一人一人に適した診療を行っている。

脳神経外科

指導責任者 勝田 俊郎

研修の概要

 脳卒中・脳腫瘍をはじめとし、下垂体腫瘍・顔面けいれん・三叉神経痛・頚椎症など、脳外科領域の幅広い病気の診断・治療を行っている。

 脳神経外科が関わる病気の中で、頻度として最も多いのは脳卒中(脳血管障害)であり、最も急いで診断・治療が必要な病気である。脳卒中は、手足のしびれや麻痺、顔のゆがみ、ことばの障害、意識障害、吐き気を伴うはげしい頭痛、などの症状が突然出るのが特徴で、その診断・治療は時間との戦いである。

 脳卒中は,脳梗塞・脳出血・くも膜下出血に分けられ,それぞれ違う治療を急いで開始する必要があり、当院では超急性期血栓溶解療法を行っている。

放射線科

指導責任者 深堀 哲弘

研修の概要

 当院は画像診断医2名体制で放射線科画像診断を行っている。

 320列MDCT、3テスラMRI、1.5テスラMRI、血管造影、消化管透視、乳房撮影、単純写真読影などが主な業務である。検査の際は放射線科医師が主治医、診療放射線技師と連携して過不足の無い検査(必要性の少ない検査を中止したり、必要な精密検査に変更したり)を行えるような体制をとっている。

 なかでも外来患者の検査結果については、主治医の説明前に画像診断医がコメントするのを基本にしているため、専門家の意見を踏まえた、主治医による検査結果説明をその日の内に聞けるシステムになっている。

 血管造影部門では通常検査以外に肝臓腫瘤、血管狭窄、化学療法などの治療も多く手がけている。診断・治療に関しては、佐賀大学医学部放射線科とも連携して診療にあたっている。

 また、予防医学部門(健診・人間ドック)の読影も担当医と画像診断医がダブルチェックを行っている。

麻酔科

指導責任者 田中 宏幸

研修の概要

 外科手術時の全身麻酔を担当している。

全身麻酔は大変体に負担のかかる医療行為であるが、その負担が少しでも小さくなるよう努めている。

また、手術後の痛みを和らげるため硬膜外麻酔を行っている。

研修医の感想

当院で臨床研修を行った研修医の感想です。

令和3年度2年目研修医 佐賀県医療センター好生館T.Y

 地域医療研修として1ヶ月間、循環器内科、一般内科外来を中心に研修させていただきました。循環器内科では心エコーやカテーテル検査、ペースメーカー留置、カルディオバージョンなどを数多く経験することができました。普段は3次救急医療機関で研修していることもあり、精査の結果、心臓血管外科紹介が必要な場合は院内紹介で完結することも多いですが、済生会唐津病院では紹介搬送が必要となるため検査を行いつつ迅速な判断が必要となった場面もありました。一般内科外来では発熱や腹痛など普段の当直業務で診察しているような患者さんに加え、定期外来受診の患者さんの診察も担当させていただきました。一般内科外来で上級医としてご指導いただいた先生のご専門が膠原病であることから、膠原病の患者さんの診察を数多く経験することができたため大変勉強になりました。

 

 また、訪問看護や病院関連施設訪問の機会もあり、退院後の患者さん方がどのような生活をしているのかを実際に見聞きすることができ、ご自宅で介護されている患者さんの家族からのお話を伺うこともでき貴重な経験となりました。

 

 医局内の雰囲気はアットホームで自分は循環器内科を中心に研修していましたが、他科の先生方とお話しする機会も多く、唐津の美味しい食事を堪能する機会にも恵まれました。

令和3年度2年目研修医 済生会福岡総合病院M.M

 6月の1ヶ月間、外科で研修をさせていただきました。毎日様々な手術に入らせていただき、ただ知識を得るだけでなく、手技や病棟管理など幅広く関わることが出来ました。初めて執刀させていただいた際には、助手の時は分からなかった難しさが分かり、今後につながる貴重な経験をすることが出来ました。

 

 また、七山診療所や特別養護老人ホームめずら荘の見学を通して地域医療の研修を行うことが出来ました。特に七山のような地域では、普段の私が福岡で経験してきた医療とは異なる部分が多くとても新鮮でした。簡単には血液検査や画像検査は行えないため、問診や身体診察で得た情報が重要であり、患者の大部分を占めるお年寄りとのコミュニケーション能力の大切さを学ぶことが出来ました。

令和3年度2年目研修医 済生会福岡総合病院Y.S

 済生会唐津病院では1ヶ月間、地域医療研修として循環器内科を中心に研修させていただきました。済生会福岡総合病院で臨床研修をスタートしてから約1年がたち、初めて他の病院で研修することになりましたが、一番印象に残ったことは(諸先輩方には承知の事実かもしれませんが)「施設(病院)が違えば経験する疾患も異なる」ということでした。具体的には、福岡病院は福岡市の都心部に立地しており、ふだんは山間部に住む患者さんをみる機会のない中で、SFTSやツツガムシ病などの鑑別をあげるような症例に出会うことができました。
また、福岡病院では膠原病などの自己免疫疾患の症例もあまり経験する機会がなく、唐津病院で自分がみたことのない疾患について実際の診療を知ることができました。

 

 施設が異なるという点では、規模の大きい病院では手技の出番に恵まれなかったりするものですが、唐津病院では循環器内科での心臓カテーテル検査や心エコー、他科の患者さんでも病棟での気管挿管やCVカテーテル留置などの手技を経験させていただき、自分が求める研修となりました。

 

 地域医療研修という点では、かつて無医村地区であった旧七山地区の七山診療所、済生会唐津病院の関連施設や訪問看護の研修も医療者として大切な経験となりました。これから医師として長い人生を歩む自分にとって、唐津で経験したことは必ず役にたつと思います。

令和3年度1年目研修医 I.T

 済生会唐津病院は東唐津医療圏の中核病院としてあらゆる患者さんが来院されます。軽症から重症まで幅広い症例を経験することができて非常に勉強になります。 研修プログラムは、プログラムの自由度が高く、希望する科をローテートすることができます。科の変更にも柔軟に対応していただきました。

 

 研修医として働きだしてからどの先生方も優しく丁寧にご指導いただきました。 また医師だけでなく、看護師や薬剤師、検査技師など多くの職種の方々と接する機会がありますが、どの職種の方もとても優しいです。 研修医なのでいつも多くのご迷惑をかけてしまいますが、たくさんの医療スタッフや事務の方にフォローしていただきながら日々研修をさせていただいています。

 

 この半年の間は内科や救急を中心にローテートさせていただきました。内科では入院患者さんの担当医をしたり、採血・ルート・動脈血ガス採取・中心静脈カテーテルなどの手技を行ったりしました。外来研修では初めに研修医が外来患者さんを診察し、その後上級医が診察してその後診察内容についてディスカッションしていきました。また毎週行われるカンファレンスでの進行役を通し、症例のプレゼンテーションする力が身についたと思います。
救急外来では、軽症から重症まで、様々な疾患を経験することができます。 毎日、内科系の救急当番の先生が一人ずついて下さり、検査のオーダーや診断に困った時はいつでも相談できます。 一日の最後には指導医に一日の救急症例について話し合い、指導医から反省点などをフィードバックしていただき、学んだことを次に活かすようにしています。

 

 唐津は非常に住みやすい街です。 海の幸に恵まれてスーパーで刺し身を買うと安くて量も多く、毎週の楽しみにしています。もし興味を持っていただけたら、ぜひ一度見学にいらしてください。

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